俺が関西の印刷会社の工程管理の幹部だった頃の話。
印刷技術ほど劇的に変わった産業はないですね、かつての写植とか製版とかすべてデジタル化して、切り替え出来ない企業は片端から倒産しました。
知り合いの写植会社から技術指導の依頼を受け、かなりの日数、ホテルに滞在して指導しました。
写植のオペレーターはみな女の子で、俺の新しいマックの画面編集の指導を熱心にきいてくれました。
全員で20人弱かな、その中に大人しい、無口な若い女の子、確か「野田君」
がいて、ちょっと覚えも悪い。
仕方ないからその子だけ残して遅くまで指導しました。
何とか追いつくレベルになり、いよいよ俺も会社に戻る数日前、その会社の社長が慰労会をしてくれました。
終わり頃、チーフの女の子が「野田さん」からです、とメモをくれました。
「今日ホテルにお訪ねしてもいいですか?」とあり、彼女を見ると俺を見つめてるから、うなずいた。